どうもこんにちは僕です。
今回はこちらの本
主人公は藤堂高虎です。
近江生まれで、身体が人一倍大きく猪突猛進型だった高虎が秀長(秀吉の弟)と出会い、「領民の幸せのために生きるのが上に立つ者の務め」と教えを何度も胸に刻みながら成長していく前編。
秀長は秀吉が出世するまでは、農民として生活しており自身が武士となっても農民目線で治世に当たるという稀な武将で、その秀長に出会ったからこそ、それまでの武辺一辺倒で真っ先に戦場に駆けるような高虎を大名にまで成長させることが出来た立役者でもある。
権力を持つとどうしても、下の者の意見を聞かと言う行為が薄れていくが、秀長は、100万石の主人となっても、民の安寧を一番にしているあたりとても良い治世者だったと感じました。
兄の秀吉が徐々に権力に執着をしはじめ暴走をする時も、それを諌める為に病気であるにも関わらず最後の諫言を行う場面も自分の信念を懸けており、それが兄に通じなかった場面は泣けました。
秀長が死ぬ直前に、殉死しようとする高虎との会話
秀長 「領民の幸せのために生きるのが、上に立つものの務めという事、この15年、そのことばかりを教えてきたつもりであった。分かってくれたと思うていたが」
高虎 「分かっており申す。分かっておりまするが、、、、、」
秀長 「ならば、なぜ領民のために生きようとせぬ。そちが跡を引き受けてくれれば、わしは何の気がかりもなく旅立つことができるのだ」
秀長はやせ細った手を差し伸べ、我儘を言うなとなだめるようにひざ頭をなでた。
高虎はその手をおしいただき、声を押し殺して泣いた。
これは、物語を読んでいただいて、いかに高虎が秀長を尊敬して仕えていたか、細かいエピソードと合わせて最後にこの場面が来て目頭が熱くなりました。
その後の高虎は、指針となる秀長の教えを守る為、関ヶ原の戦いへと向かっていきます。
加藤清正や、池田輝政、水野勝成などちょっと年上の高虎と弟達のような彼らとの掛け合いも名だたる武将が出てきて面白い。
また若き日の高虎が、女性に対して童貞臭を漂わせている感じもあり意外な一面もありよかった。
下巻が楽しみです。